最近、お金がないのに幸せだと思うことが増えた。
不思議な話だと思う。
生活に余裕があるわけじゃない。
支払いの心配だってあるし、これから大きく環境が変わろうとしている。
むしろ、不安になる理由ならいくらでもある。
それなのに、以前より心が満たされている。
どうしてだろう。
そんなことを考えていたら、私が思い描いていた「豊かさ」が、いつの間にか変わっていたことに気づいた。
豊かさは、お金で手に入れるものだと思っていた
以前の私は、もっとお金があれば幸せになれると思っていた。
好きなものを買えて、行きたい場所に行けて、支払いを気にせず暮らせる。
そんな生活ができるようになったら、きっと心にも余裕が生まれる。
もちろん、今でもそういう暮らしには憧れる。
お金は大切だし、生活を守るためには必要なもの。
でも、お金が増えたら必ず幸せになれるのかと聞かれたら、今は少し考えてしまう。
だって、今の私はお金に余裕がない。
それでも幸せだと思う瞬間があるから。
何も解決していないのに、心が軽くなった
最近、家族で新しい生活を始めようとしている。
引っ越しをして、暮らす場所を変えて、これまでとは違う毎日を作っていく。
楽しみな反面、当然お金の不安もある。
本当にやっていけるんだろうか。
もう少し今の生活を続けた方がいいんじゃないか。
そんな気持ちになることもある。
でも、以前と決定的に違うことがひとつある。
それは、一人で抱え込まなくなったこと。
不安なことを不安だと話せる。
どうすればいいか、一緒に考えられる。
どちらか一人が頑張るのではなく、二人でできることを探している。
問題がなくなったわけじゃない。
それなのに、心の重さが全然違う。
ああ、そうか。
私が欲しかった安心って、何も問題が起きない生活じゃなかったんだ。
何かあったとき、一緒に向き合える人がいること。
それだけで、人はこんなにも満たされるんだと思った。
私が欲しかったのは、夕方の散歩だった
新しい家に引っ越したら、何をしたいだろう。
そう考えたとき、真っ先に浮かんだのは、家族みんなで夕方の散歩をすることだった。
自分でも少し笑ってしまった。
もっと特別なことを想像すると思っていたから。
新しい家具を揃えたり、おしゃれな部屋を作ったり。
もちろん、それも楽しみではある。
でも、一番に浮かんだのは、ただ家族で外を歩く光景だった。
夕焼けの空。
少し冷たい風。
子どもたちのくだらない会話。
隣を歩く大切な人。
帰ったら、いつもの晩ご飯。
きっと、他人から見れば何でもない日常。
でも、私にとっては、それが何より贅沢な時間に思えた。
これまでの生活では、家族として当たり前に過ごすことにも、どこか遠慮や制限があった。
だからこそ、何も気にせず家族で歩けることが嬉しい。
豊かさって、特別な何かを手に入れることだけじゃない。
今まで当たり前にできなかったことが、当たり前にできるようになることも、豊かさなんだ。
お金がないことと、心が貧しいことは違う
お金がないと、どうしても自分の人生まで足りないものだらけに感じてしまう。
もっと稼がなきゃ。
もっと頑張らなきゃ。
今のままじゃ幸せになれない。
そうやって、まだ手に入っていないものばかり数えてしまう。
でも最近、思う。
お金がないからといって、今ある幸せまで否定する必要はないんじゃないか。
一緒に笑える人がいる。
不安を分け合える人がいる。
帰りたいと思える場所がある。
それは、通帳の残高には表れない。
もちろん、心が満たされていればお金なんていらない、という話ではない。
生活を守るためのお金は必要だし、現実から目を背けたくもない。
むしろ、大切な日常を守りたいからこそ、お金のこともちゃんと考えていきたい。
でも、幸せになることまで先延ばしにしなくてもいい。
お金が増えるのを待たなくても、今あるものに目を向けることはできる。
それに気づけただけで、私の中の豊かさは少し変わった。
豊かさとは、何を持っているかではなく、何を大切にできるか
これからの生活がどうなるかは、まだ分からない。
不安が全部なくなる日なんて、きっと来ないのかもしれない。
それでも、私は前に進みたいと思っている。
もっと大きな家が欲しいからでも、誰かに羨ましがられる暮らしがしたいからでもない。
大切な人たちと、安心して笑える毎日を作りたいから。
そして、その毎日を守れる自分たちでありたいから。
以前の私は、豊かさを「どれだけ手に入れたか」で考えていた。
でも今は違う。
豊かさとは、どれだけ持っているかではなく、今あるものをどれだけ大切にできるか。
お金がたくさんある日も、そうじゃない日も。
特別なことが起きた日も、何も起きなかった日も。
自分の人生を、ちゃんと幸せだと思えること。
いつか家族みんなで夕方の散歩をする日が来たら、きっと私は思う。
ああ、幸せだな。
そして、たぶんそのときも、特別なことなんて何も起きていない。
ただ、大切な人たちと同じ道を歩いているだけ。
私にとっての本当の豊かさは、そんな何でもない日常の中にある。


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