昨日、お祭りで金魚を連れて帰った。
水槽を用意して、ブクブクをつけて、底にはビー玉を敷いた。
ちゃんと飼えるかな。
そんなことを思いながら迎えた、次の日の朝。
水槽を覗いてみると、一匹の赤白の金魚がものすごい勢いで泳いでいた。
右へ行って、左へ行って。
水面に上がってパクパクしたと思ったら、また勢いよく泳ぎ出す。
他の子たちは比較的落ち着いているのに、この子だけ明らかに忙しい。
「え、なんでこんなに暴れとるん?」
昨日、水槽に入れたばかり。
水が合ってない?
酸素が足りない?
環境が変わったストレス?
気になって仕方なくて、しばらく水槽の前で観察していた。
すると今度は、底に敷いたビー玉の隙間に顔を突っ込み始めた。
何度も何度も、パクパク。
最初はビー玉にぶつかっているのかと思った。
でも、よく見ると違う。
何かを探している。
「……もしかして、お腹減っとる?」
試しに餌を入れてみた。
すると、さっきまでの大暴れが嘘みたいに止まった。
ものすごい勢いで餌を食べたあと、
スイー。
スイー。
何事もなかったかのように、優雅に泳いでいる。
「あの大暴れは何だったん!?」
思わず笑ってしまった。
結局、この子はお腹が空いていたらしい。
しかも、かなりの食いしん坊。
餌を入れると一瞬で食べてしまって、他の子が食べる暇がないほどだった。
昨日まで、私にとってはみんな同じ「お祭りですくってきた魚」だった。
でも一緒に過ごしてみると、
よく食べる子がいて、
小さくてなかなか餌を食べられない子がいて、
落ち着いて泳ぐ子がいる。
たった一日なのに、それぞれの違いが少しずつ見えてきた。
そして、大暴れしていた金魚を見ながら思った。
見えている行動だけでは、本当の理由なんて分からないんだな。
私は最初、この子が暴れているのを見て、
「苦しいのかもしれない」
「水が嫌なのかもしれない」
そうやって、目の前の行動から理由を想像していた。
でも実際は、
「お腹が空いた」
たったそれだけだった。
これって、人に対しても同じなのかもしれない。
無愛想な人を見て、
「感じの悪い人だな」
口数が少ない人を見て、
「私のこと嫌いなのかな」
いつも怒っている人を見て、
「怖い人だな」
私たちは、目の前に見えている姿だけで、その人がどんな人なのかまで決めてしまうことがある。
でも、本当の理由はまったく違うのかもしれない。
ただ緊張していただけかもしれない。
人と話すのが苦手なだけかもしれない。
その日、たまたま嫌なことがあったのかもしれない。
逆もある。
いつも笑っている人が、本当に毎日幸せとは限らない。
強そうに見える人が、本当に何も傷つかないわけでもない。
人は見かけによらない。
よく聞く言葉だけど、それは外見だけの話ではないのかもしれない。
その人が見せた、たった一つの行動だけでも、その人のことは分からない。
「あの人は、こういう人。」
そう決めつける前に、
「もしかしたら、何か理由があるのかもしれない」
そう思えるだけで、人との関わり方は少し変わる気がする。
まさか、お祭りですくってきた金魚から、そんなことを考えるとは思わなかった。
ちなみに、そのきっかけをくれた本人はというと。
今朝の大暴れなんてなかったかのように、
お腹いっぱいになって、優雅に泳いでいる。
ほんと、
あの大暴れは何だったん。
🌙 Lunaのことば

見えている姿だけで、
その人のすべてを決めなくていい。
「なんで?」と思ったその行動にも、
自分にはまだ見えていない理由があるのかもしれない。


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